| Letter from President
この度、一般社団法人経営情報学会の初代会長に選任され、身の引き締まる思いです。1990年に、故松田武彦先生のリーダーシップの下、本学会の 前身である日本経営情報学会の設立に準備段階から参画して以来、1992年の旧経営情報学会との合併を経て、2004年度から2006年度には会長を務めさせて戴くなど、本学会は私の活動の中心であり続けてきました。
この度、國領前会長の下で、10年来の懸案であった法人化が実現され、経営情報学会も、やっと社会的に一人前と言えるようになりました。すなわ ち、「任意団体の経営情報学会」から「一般社団法人経営情報学会」となり、まさに本学会の歴史に新しい一頁が開かれたところです。法人化にご尽力された、前理事会に心からの感謝を表したいと思います。この記念すべきタイミングで選任された新会長として、「新しい一般社団法人経営情報学会 は、社会の中でどのような位置に立ち、どのような役割を果たすべきか?」を考えるに際し、学会のミッションステイトメントを読み返してみました。
(引用始め)
これからの企業,組織,社会,また個人にとって,情報技術の利用は,ますます重要になっています。しかし,情報技術の開発に比べて,その利用につ いての理論的研究は十分なされているとは言えません。経営情報学会の使命は,情報やコミュニケーションと経営の接点に関心を持つ研究者,実務家、および教育者に対して,企業,組織,社会,また個人の情報および情報技術の活用に関する対話の場を提供することです。(学会ウェブサイトより)
(引用終わり)
前段については、このミッションステイトメントが定められた2001年と、残念ながら状況は変わっていないと言えましょう。一方、後段について は、現在の社会状況を考えますと、少々拡張して捉えるべきではないか、と思われます。
すなわち、現在我が国が直面している未曾有の国難を前にし、他方、情報技術を適切に活用することにより、現在および将来の復興活動を画期的に効果 的・効率的なものにすることができる筈だという我々の信念を考え併せますと、既に「情報やコミュニケイションと経営の接点に関心をもつ人々」を対象とするだけでなく、今は特に関心を持っていないが、経営情報学を応用すれば大いにその活動の成果が上がるに違いないような人々・社会・企業・政 府などにも積極的に働きかけ、経営情報学の有効性を実証して、一緒に復興に寄与していくことこそが、私達の責務だと言えましょう。単に座して見過 ごすことは、社会に対して機会損失を与えることに等しく、罪悪であるとさえも考えられます。
そこで、一般社団法人経営情報学会が、社会の中で然るべき役割を積極的に果たしていくために、相互に関連した次の3つの方針を掲げたいと思います。
まず、第一は、「社会とのリンクの強化」です。本来、今回の国難に際しても、本学会をのみならず、経営情報学そのものがもっと社会から必要とされて活用されているべきでありますが、現状では甚だもどかしい状態に止まっていると言わざるを得ません。我々は社会の現状を一層深く学ぶと同時に、経営情報学によって活動の有効化・効率化が促進されるような領域を積極的に開拓し、当事者の方々と共に情報支援のあり方を模索・研究・実践し、また、その成果を広く社会にフィードバックしていくことが望まれます。研究の深化に努めると同時に、経営情報学の意義を社会に伝え、象牙の塔とならない、「社会の中の経営情報学」というあり方を強調したいと考えます。
第二に、「研究水準の向上」です。既に、前理事会において、研究発表大会における学生発表の水準向上についてご検討を戴いていますが、この方向性 を一層推進して、学生発表のみならず、全般的な研究水準の向上を目指したいと考えます。このためには、大会や論文誌のあり方のみならず、いろいろ なメディアの使い方なども検討課題となりましょう。また次項にも関係しますが、本学会は、経営情報学分野では世界で最も重要な国際学会である Association for Information Systems (AIS) の Affiliated Organization ですので、このAISを始めとする国内外の関連学会との研究交流も推進したいと考えます。
第三に、「国際化の促進」です。本学会も密接な関係を持っておりますAssociation for Information Systems 関係の論文誌(Journal of Association for Information Systems や Pacific-Asia Journal of Information Systems)や大会(International Conferences on Information Systems や Pacific-Asia Conferences on Information Systems)において、残念ながら我が国研究者の貢献は極めて限られています。日本の研究の良いところはできるだけ残しながら、世界に通用するような 研究を増やしたく、理事会にも国際化タスクフォースを設立して戴いたところです。
直ぐにお分かりのように、これらの三つの方針は相互に密接に結びついていて、三つのうちのどの一つが欠けても他の二つの成就に差し支えるという関係にあります。そこで、これら三つの方針の総合目標として、「日本におけるInternational Conference on Information Systems (ICIS) の開催」を提案したいと思います。ご存知のように、ICISは経営情報学分野では、規模や質に於いて世界的に最も重要な大会です。現在AISが世界を三つの地域に分けて順番に開催しております。日本が属する太平洋アジア地域(Region 3)では、今までに、2000年のオーストラリアのBrisbane大会が唯一の実績でした。過去には、韓国もICIS開催の立候補をしたことがありました(日本は支持しました)が、AIS理事会で認められませんでした。本年、アジアでは最初の大会が上海で開催されます。 次回の太平洋アジア地域は、2014年にニュージーランドのAucklandでの開催が決まっています。このように、ICISは他の大会とは異なり、立候補すれば自動的に決まるものではありません。その国の経営情報学が、研究水準としても、社会の中での役割としても、一人前であ るとして世界から認めらることのメルクマールの一つがICISの開催だと言えます。
このような ICIS を日本で開催することを目指すというのは、この度、一般社団法人となった経営情報学会にとって、極めて魅力的であると同時に、チャレンジングな、素晴らしいターゲットです。会員の皆さん、ご一緒に日本の復興に寄与しながら、ICIS 開催を目指すことにより、我が国における経営情報学ならびに本学会の一層の発展を図ろうではありませんか!ご支援・ご協力を、どうぞよろしくお願い致します。
会長 平野雅章
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