「人とITとの共創」
 
リーマンショック後の景気は持ち直しているようにも見えますが、昨年の大災害が無かったとしても、バブル崩壊以降長期的に失業は減らず、OECDによる統計では2000年代中頃の日本の貧困比率*は、メキシコ・トルコ・米国についで加盟国(34カ国)中4番目となっていて、貧富の格差は拡大しています。また、自殺率も男女ともOECD加盟国中3番目に大きくなっています。このような社会的閉塞状況をもたらした要因の一つは、ITを中心とする技術革新による雇用の置き換えであり、従来コンピュータより人間の方が得意とされた領域が次々とコンピュータによって浸食されてきていることにあります。たとえば、1997年にIBMのディープブルーがチェスチャンピオンのカスパロフを破ったときには、「将棋はずっと複雑なので、コンピュータはまだまだ」と言われたものでしたが、本年1月にはパソコン上のボナンザ+ボンクラーズが米長永世棋聖を破ってしまいました。また昨年は、グーグル社が無人自動車を公道で走らせてしまうという事件もありました。しかし、現在の状況下で、ITによる置き換え投資を続け(て失業者を増やし続け)る一方で、勤労意欲や倫理感などを低下させることなく社会を維持していくことはかなり困難であり、人間とITとの関係を根本的に見直す必要があります。

ITの効果的な利活用を主な研究領域とする本学会としては、「豊かな社会造りに貢献するような人間とITとの生産的な関係を構想・構築する」という挑戦を正面から受け止めるべく、創立20周年に際して公開シンポジウムを開催することになりました。ビッグデイタなどに代表されるIT基盤の技術革新をどう活用して価値創造していくべきか考えるために、多方面から第一線の講師・パネリストにご参加をお願いしました。

社会の閉塞感を打ち破るような人とITとの新しい関係を、ご一緒に築いていきましょう!
 
経営情報学会会長
平野雅章
* OECDによる貧困比率の定義=等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が、全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合
主催: 一般社団法人経営情報学会
日時: 2012年6月7日(木)13:00-18:00
場所: 明治大学アカデミーコモン(JR御茶ノ水駅、徒歩2分)
参加費: 無料
申し込みは → http://www.surveymonkey.com/s/Jasmin20th
 
プログラム:
13:00 受付開始
13:30-13:50  挨拶:平野雅章(早稲田大学、経営情報学会会長)
13:50-14:30  講演1:保木邦仁(電気通信大学)+勝又清和(プロ棋士)
保木氏は、将棋プログラム同士の対戦で圧倒的な強さを示し、米長永世棋聖に勝ったボンクラーズを始め多くの将棋プログラムの基礎となっているボナンザの開発者。将棋には決して強くないといわれる保木氏が、ボナンザと協働して将棋の覇者になったプロセスを、社会の広範囲に応用するには? 勝又氏がコンピュータ将棋について解説・補足。
14:30-15:10  講演2:木川 眞(ヤマトホールディングズ社長、経営情報学会顧問)
ヤマトは、昨年の東日本大震災に際して圧倒的な復旧力の強さを見せただけでなく、実際のモノの流れデイタを見ていることから、社会変動の方向を先取り予測できる立場にもいる。ますます社会を便利に住みやすくしていくための基盤や新サーヴィス構想など、物流トップ企業の考え方。
15:10-15:50 講演3:國領二郎(慶應義塾大学、経営情報学会副会長)
ネットワーク社会の論客が、講演1(技術の最先端)と 講演2(実践の最先端)を受けて、人とITとの共創のあり方について、近未来を構想。
15:50-16:05  休憩
16:05-17:15  パネル討論:講演者+浜口友一(NTTデータ相談役、経営情報学会副会長)
人とITとの新しい関係を作ることによって、いかに社会的価値創出ができるか、トップインテグレイタの前社長にフロアも交えて多方面から大討論。
17:15-18:00  名刺交換会:講師、パネリスト、他の参加者とネットワーキング。
 
協賛: 日経情報ストラテジー、JPAIS (Japan Association for Information Systems)
後援: (有)まほろば工房
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