エージェントの市場情報への感度の差異が価格形成に及ぼす影響に関する考察

富澤 浩樹1)、内木 哲也1)

1) 埼玉大学大学院

Abstract 実験経済学におけるダブルオークションを用いた価格形成実験では,実験回数や被験者特性などの環境要因によって市場の活性状況が変化し,実験結果にも影響を及ぼすことがしばしば観測される。その現象は被験者毎の意思決定プロセスの相違によるものといえるが,その相違を完全に統制して実験することは困難であるため、その因果関係はこれまで実験的には捉えられて来なかった。本報告では、意思決定プロセスの相違を市場情報に対する感度の相違と捉え、感度の違いを市場価格の参照範囲の広狭としたエージェントシミュレーションにより、価格形成実験で観測される現象を再現できることを示すと共に、エージェント毎の感度の差異が価格形成に及ぼす影響について考察する。
Keywords マルチエージェントシミュレーション,実験ダブルオークション市場,価格形成シミュレーション
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